複数人が参加するオンラインダンスにおける映像遅延お影響に関する調査

竹川研究室 今井梨乃

近年,ブレイクダンスがオリンピックの競技になったことでストリートダンスが注目を集めている. また,中学校の体育授業でダンスが必修化したことや,SNS の普及により「踊ってみた」などのダンス動画が流行したことで様々な人がダンスに触れる機会が多くなっている. しかし,ダンス教室やコンテスト会場は未経験者にとって敷居が高い空間であり,実際に足を運ぶ機会は少ない. そこで,手軽にダンスを体験・視聴できる環境としてオンラインダンスレッスンや,オンラインライブパフォーマンスなどがある. これらのオンラインコンテンツは,自宅で,遠隔地にいるプロダンサーからの指導を受けたり,プロダンサーのパフォーマンスを視聴することが可能である. また,新型コロナウイルスの影響から,これらのオンラインコンテンツの需要が高まっており,オンラインレッスン用のアプリケーションなども普及している.このような背景から,オンラインダンスに着目した.

本研究では,オンラインダンスパフォーマンスの支援するため,音楽と動作の遅延の違和感について調査を行った.オンラインでは,通信環境の影響により音楽と動作の間に遅延が生じてしまう. この遅延により,オンラインで複数人が同時に踊る場合,ダンサー同士が音楽とタイミングを合わせて踊ることができない.
そのため,周りのダンサーとの一体感を感じることができないなどの問題が生じる.音声と映像の遅延については,遅延に対する推奨時間について検証されており,音声と映像を同期させるシステムも存在する. しかし,複数人でダンスを行う場合の遅延に対する許容範囲ついては調査されていない.また,リアルタイムで動作タイミングを支援するシステムも前例が少ない. そこで,複数人でのオンラインダンスレッスンを想定し,動作を伴う遅延についての違和感や踊りやすさ,振り付けの習得しやすさについて調査した.

また,ダンス熟達者を対象にヒアリング調査も行った.これらの調査の結果をもとに,オンラインダンスを支援するwebアプリケーションの提案を行った.

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