納豆パッケージの感性評価

姜研究室 矢幅塔也

近年,和食に対する関心は世界中に広がり,世界で好まれる料理の第1位が日本料理であるという報告がされている,また,外国では,和食はコレステロールが低く,お茶や海藻,豆を使用した料理があるため,健康的であるという意見もある[3].実際に海外にもお寿司やラーメンをはじめとした日本料理店は年々広がりつつあり,日本食及び和食に対する関心がより世界中に広がることが予想される.このような世界的な背景から,和食のパッケージにも関心が高まり,多くの研究が行われている.例として,日本酒のパッケージと色彩に関する研究やお茶のパッケージの印象と消費行動の関係性についての研究が報告されており,パッケージと購買意欲の関係性の研究も多く行われている.また,購買意欲だけでなく,マーケティングという観点からもパッケージに重きを置かれるようになってきている.そこで本研究の目的を,一般的に売られている和食材の内,中身を直に見ることが少ない納豆を題材として,印象評価を行い,曖昧なパッケージの印象を可視化し,パッケージの特徴及び色彩と購買意欲との関係性を究明することにした.

本研究は,様々な結果からパッケージの特徴及び色彩と購買意欲との関係性を調査していった.初めに,様々な納豆の売り上げランキングサイトを基に,実験協力者7名と共に,2つのブランドで8つのパッケージを選定し,それに対する印象評価を行った,そして,そのアンケートから得られた結果を基に分析を行っていった.分析方法として,「SD法と因子分析」,「正規化順位法」,「クラスター分析」,「テキストマイニング」の4つを用いて実験を行った.それぞれの分析方法は,「SD法と因子分析」では,それぞれの納豆のパッケージに対する印象を知るため,「正規化順位法」では,パッケージと購買意欲との関係性を知るため,「クラスター分析」では,パッケージと色彩との関係性を知るため,「テキストマイニング」では,購買者の考えと購買意欲の繋がりを知るために分析を行った.
本研究の結果は,「SD法と因子分析」の結果から「食品としての性質」,「頑固さ」,「淡泊さ」,「庶民感」といった4つの因子が得られ,これらが購買意欲に関係することが分かり,この内,「頑固さ」から,色彩を変えることで,硬い印象や柔らかな印象を操作できることが示唆された.そして,パッケージに対する印象がブランドごとに違うことやフォントや画像の有無が印象に関わっていることが明らかになった.また.ブランドの違いによって,購買者の商品に対する印象が変わり,購買目的も変わることが示唆され,「商品の良さ」,「高級感」,「購買者によるパッケージの印象」,「購買者の視点」,「納豆の属性」,「商品としての個性」という購買者の考えが,購買に影響を与えていることが示唆された.

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